備忘録
<あらはん>
1987.3
・拳技解体 今井明雄正範士八段に聞く
・拳理体感 形の違いをどう考えるか「技の個性」
・技術Q&A 技の運用の考え方 残心について
1987.11
・拳理体感 試合中心の練習について
・拳系解説 剛柔一体の投げ技「五花拳」
・技術Q&A 受けながらの蹴り反撃について
<月刊少林寺拳法>
1991.1
・グラビア 小手巻返
・拳理体感 手捕の逆技における掴手・布陣・誘手の関係について
・拳技Q&A 巻小手について
1994.2
・拳技Q&A 片手投について
・コツを語る 佐戸正直大範士九段に聞く 襟十字
1994.5
・拳技Q&A 押小手について
・コツを語る 高橋法昇正範士七段に聞く 袖捕
1994.8
・拳技Q&A 流水蹴と転身蹴について
・コツを語る 天羽幸敏正範士八段に聞く 上受逆手投
1994.10
・拳技Q&A 袖巻返しの掛手について
・コツを語る 奥村正千代大範士八段に聞く 片手投
1995.1
・拳技Q&A 両手閂投と丁字投について
・コツを語る 牧野清正範士八段に聞く 押閂投外
1995.4
・拳技Q&A 投げ技における当身の有用性について
・コツを語る 奥村正千代大範士八段に聞く 逆小手
1995.5
・拳技Q&A 首締投について
・コツを語る 今井明雄正範士八段に聞く 片手押小手
1995.6
・拳技Q&A 科目表での柔法の反撃の限定について
・コツを語る 牧野清正範士八段に聞く 抜打押小手
1995.7
・拳技Q&A 技の名称の混乱について
1995.12
・拳技Q&A 柔法の基本動作について
1996.1
・拳理体感 少林寺の技は、再現性のある自然現象
・拳技Q&A 技の有効・無効について
1997.1
・拳技Q&A 練習の攻撃について
・コツを語る 加藤義秋正範士七段に聞く 拳締捕
1997.2
・拳技Q&A 天地拳の相対について
・コツを語る 杉山喜代美正範士八段に聞く 上膊捕
1997.3
・拳技Q&A 段蹴の練習について
・コツを語る 近藤道文大範士九段に聞く 袖捕
1997.4
・拳技Q&A 受けてからの崩しについて
・コツを語る 今井明雄正範士八段に聞く 襟十字
・続・拳理体感 拳理
1997.5
・拳技Q&A 合掌逆小手について
・コツを語る 合田清一大範士九段に聞く 逆小手
・続・拳理体感 体感
1997.6
・拳技Q&A 引身について
・コツを語る 高橋法昇正範士八段に聞く 片手投
・続・拳理体感 身勝手な思い込みが、技術の体得の妨げになる
1997.7
・拳技Q&A 受身について
・続・拳理体感 さまざまな捕り方に対応するために
1997.8
・拳技Q&A 突天一について
・続・拳理体感 崩しと逆の関係
1997.9
・拳技Q&A 二段抜と上抜について
・コツを語る 森道基大範士八段に聞く 両手押小手
・続・拳理体感 「誘導法」と「観察法」について
1997.10
・続・拳理体感 目的と技術
・拳技Q&A 前流水蹴について
・コツを語る 田原正晴大範士八段に聞く 送巻天秤
1997.11
・拳技Q&A 同蹴について
・コツを語る 天羽幸敏正範士八段に聞く 巻込小手
1997.12
・拳技Q&A 龍王拳第一系単演の蹴りについて
・続・拳理体感 乱捕りについて
1998.1
・拳技Q&A 十字受について
・コツを語る 近藤道文大範士九段に聞く 切小手
・続・拳理体感 法形の練習について
1998.2
・拳技Q&A 払受について
・コツを語る 加藤義秋正範士七段に聞く 巻小手
・続・拳理体感 法形の練習と「守」について
1998.3
・拳技Q&A 順蹴地三について
・コツを語る 小池孝忠正範士八段に聞く 小手巻返
・続・拳理体感 少林寺拳法の特徴を見失わないこと
1998.4
・拳技Q&A 輪抜と諸手巻抜の鈎手の違い
・コツを語る 義若道恵大範士九段に聞く 片手送小手
・法形探究 内受突
1998.5
・基本回帰 運歩法「前千鳥足」「後千鳥足」について
・拳技Q&A 引胸落とは
・コツを語る 横田仁大範士八段に聞く 逆合掌
・法形探究 燕返、千鳥返
1998.6
・基本回帰 剛法基本防技「上受」について
・拳技Q&A 空突き、空蹴りについて
・コツを語る 今井明雄正範士八段に聞く 上膊捕
・法形探究 十字受蹴
1998.7
・基本回帰 剛法基本防技「下受」について
・拳技Q&A 「技術を楽しみながら、自他共に上達する」とは
・コツを語る 牧野清正範士八段に聞く 片手閂投
・法形探究 流水蹴
1998.8
・基本回帰 剛法基本防技「下受」について②
・拳技Q&A 「柔法乱捕り」とは
・コツを語る 伊瀬一大範士八段に聞く 腕巻
・法形探究 転身蹴、流水蹴前
1998.9
・基本回帰 「守主攻従」を意識し、基本の動作を行う
・拳技Q&A 受身の必要性とその理由
・コツを語る 合田清一大範士九段に聞く 下受蹴小手投
・法形探究 上受突
1998.10
・基本回帰 「蹴上」について
・拳技Q&A 演武の指導方法について
・コツを語る 松田欣一郎正範士八段に聞く 巻落
・法形探究 上受蹴
1998.11
・基本回帰 基本動作における「組手主体」について
・拳技Q&A 攻撃に対する反応を早くするには
・コツを語る 奥村正千代大範士九段に聞く 袖巻返
・法形探究 下受蹴
1998.12
・基本回帰 攻撃の「突き」「蹴り」と反撃の「突き」「蹴り」について
・拳技Q&A 体勢を「崩す」とは
・コツを語る 天羽幸敏正範士八段に聞く 十字小手
・法形探究 下受順蹴
1999.1
・基本回帰 膝を上手に使う基本練習
・拳技Q&A 攻者を観察することが上達の基本
・法形探究 突天一
1999.2
・基本回帰 「突き」における腰の使い方について
・拳技Q&A 真後ろの崩しについて
・コツを語る 高橋法昇正範士八段に聞く 巻小手
・法形探究 内受蹴
1999.3
・基本回帰 「立ち方」(姿勢)について
・拳技Q&A よき協力者を作るには
・コツを語る 小池孝忠正範士八段に聞く 切小手
・法形探究 横転身蹴
1999.4
・基本回帰 肩の力を抜き、安定した体勢を作る
・拳技Q&A なぜ教える人によってやり方が違うのか?
・コツを語る 近藤道文大範士九段に聞く 押閂投外
・法形探究 半転身蹴
1999.5
・基本回帰 「体構え」における手の意味について
・拳技Q&A 単演の動作を確認するには相対が必要
・コツを語る 加藤義秋正範士七段に聞く 仏骨投
・法形探究 外受突
1999.6
・基本回帰 「半転身」と「逆転身」について
・拳技Q&A よく似た技を指導するには
・コツを語る 今井明雄正範士八段に聞く 巻込小手
・法形探究 外受蹴
1999.7
・基本回帰 「差込足」と「差替足」について
・拳技Q&A 戦術の作り方と構えの意味
・コツを語る 田原正晴大範士八段に聞く 龍投
・法形探究 押受突
1999.8
・基本回帰 徹底して「顔を護る」
・拳技Q&A 技の使い分けに困ったら
・コツを語る 大屋昭夫大範士八段に聞く 片手送小手
・法形探究 打上蹴
1999.9
・基本回帰 「残心のための退り方(退身)」について
・拳技Q&A なぜ、三合拳は一字構なのか?
・コツを語る 伊瀬一正範士八段に聞く 片手押小手
・法形探究 振天二
1999.10
・基本回帰 「逃げ」ではなく「かわす」
・拳技Q&A 手がスッポ抜けてしまうときには
・コツを語る 松田欣一郎正範士八段に聞く 上膊捕
・法形探究 蹴天三
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」仏骨投
1999.11
・基本回帰 「防御」が成立し「反撃」に転じられる状況
・拳技Q&A 十字受は守者が不利な体勢?
・コツを語る 牧野清正範士八段に聞く 切小手
・法形探究 突天三
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」払仏骨投
1999.12
・基本回帰 抜く個所を認識し「車の理」を使って「龍王拳」を行う
・拳技Q&A 抜き技の原理とは
・コツを語る 合田清一大範士九段に聞く 片手送小手
・法形探究 屈身突・屈身蹴
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」後仏骨投
2000.1
・基本回帰 「遊びを取る」二つの方法について
・拳技Q&A 法形で何を学ぶのか
・コツを語る 天羽幸敏正範士八段に聞く 腕巻
・法形探究 天地拳第一相対
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」逆天秤
2000.2
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」引天秤
・基本回帰 「我安定」「相手不安定」を心がける
・拳技Q&A 「運用法(乱捕り)」の役割とは
・コツを語る 高橋法昇正範士八段に聞く 片手押小手
・法形探究 義和拳第一相対
2000.3
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」逆引天秤
・基本回帰 重心を動かし、攻撃線をかわして連反攻を行う
・拳技Q&A 段攻防の意味とは
・コツを語る 奥村正千代大範士九段に聞く 巻小手
・法形探究 天地拳第二相対
2000.4
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」上受突
・基本回帰 避実虚撃について
・拳技Q&A 攻者の真剣な攻撃を迎え撃つ練習を
・コツを語る 藤本義政正範士八段に聞く 閂片手投
・法形探究 金的蹴膝受波返
2000.5
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」上受逆手投
・基本回帰 「前受身」について
・拳技Q&A 構えの意味と誘い
・法形探究 逆蹴膝受波返
2000.6
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」天秤投
・拳技Q&A 練習に段階を持たす
・コツを語る 加藤義秋正範士八段に聞く 片手閂投
・法形探究 廻蹴三防受波返
2000.7
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」合掌引天秤
・基本回帰 「横転より起上り」について
・拳技Q&A 攻者の手首を極めても倒れないときには
・コツを語る 今井明雄正範士八段に聞く 片手押小手
・法形探究 打上突
2000.8
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」押受投
・基本回帰 「投げ技の受身」について
・拳技Q&A 金的蹴膝受波返について
・コツを語る 大屋昭夫正範士八段に聞く 両手押小手
・法形探究 打上蹴
2000.9
・基本回帰 当身技について
・拳技Q&A 「切抜」は親指の指先を切るように抜く
・コツを語る 小池孝忠正範士八段に聞く 袖巻返
・法形探究 開身突
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」押受巻投
2000.10
・基本回帰 龍王拳からの当身について
・拳技Q&A 柔法で力は必要ないか
・コツを語る 松田欣一郎正範士八段に聞く 逆小手
・法形探究 開身突
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」閂内天秤
2000.11
・基本回帰 「逆蹴」について
・拳技Q&A 半転身蹴の反撃について
・コツを語る 牧野清正範士八段に聞く 片胸落
・法形探究 突天二
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」閂外天秤
2000.12
・基本回帰 「かわし」と「復位」について
・拳技Q&A 「鈎手守法」と力の流れについて
・コツを語る 伊瀬一正範士八段に聞く 十字小手
・法形探究 混天一
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」片手投
2001.1
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」送片手投
・基本回帰 安定した体勢でかわす
・拳技Q&A 頭ではわかっているのに、できない
・コツを語る 合田清一大範士九段に聞く 巻落
・法形探究 逆天一
2001.2
・基本回帰 「蹴技」と「蹴方」について
・拳技Q&A 上達とは、ムリやムダを削ること
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」逆片手投
2001.3
・基本回帰 基本練習について
・拳技Q&A 研究テーマに沿った課題を作る
・コツを語る 今井明雄正範士八段に聞く 小手巻返
・法形探究 法形の内と外
・少林寺拳法連写シリーズ「五花拳」押閂投内
原点
昭和二十年八月九日午前四時、ソビエート・ロシアは日ソ不可侵条約を一方的に破棄して、突如飛行機による満州国内の軍事施設に猛爆撃を開始し、夜明とともに機械化されたソ連軍の大部隊は各方面から一斉に国境を突破して、満州領内へ侵入を開始した。当時私が住んでいた東部満州の国境の町綏陽には県公署があり、日本軍の某師団(特に名を秘す)が駐屯していたのであるが、ソ連軍の参戦が知らされた頃には、警察の兵事係に命じ日本人の民間人男子を非常招集させ、これに木銃を持たせて軍事施設や橋などの警備を命じておいて、師団は司令部はじめ各舞台共、朝のうちにソ連軍とは一戦も交えることなく、後方の第二線陣地で抗戦するのだと称して何もかも捨てて退却してしまった。そして街に残されたのは、一般から臨時招集された少数の男子と逃げおくれた地方人の女や子供達ばかりで、正午前には憲兵隊はじめ正規の軍人はその家族と共に一人残らず消えてしまっていたのである。
この日本軍に見捨てられた国境の町に、ソ連軍の先頭部隊が入るのを見届けてからやっと脱出した私は、それからの約一年間をソビエート共産軍の軍政下にあった満州に於て生活し、敵地における敗戦国民の惨めさと悲哀を十二分に体験した。イデオロギーや宗教や道徳よりも、国家や民族の利害の方が優先し、力だけが正義であるかのような、きびしい国際政治の現実を身を以て経験した。そしてその中から知り得た貴重な経験は、法律も軍事も政治の在り方も、イデオロギーや宗教の違いや国の方針だけでなく、その立場に立つ人の人格や考え方如何によって大変な差が出ることを発見したのである。満州で政権を握っていた頃の日本人の場合も同様であったことを改めて思いうかべて、私の人世観は大きく変り今後の生き方に一つの目標を見出したのである。
人、人、人、すべては人の質にある。
すべてのものが、「人」によって行われるとすれば、真の平和の達成は慈悲心と勇気と正義感の強い人間を一人でも多く作る以外にはないと気づき、万一生きて帰国出来たら、私学校でも開いて志のある青少年を集め、これに道を説いて正義感を引き出し、勇気と自信と行動力を養わせて、祖国復興に役立つ人間を育成しようと決心するに至ったのである。
崩し・落とし・外し
少林寺拳法の技法、特に柔法を学ぶ上で、「崩し・落とし・外し」という文言を用いて教えられることがある。守者が攻者を「崩して」「落として」「外す」ことにより、無理なく技が掛かるというものだ。
確かにそうなのだろう。では、この説明を聞いて、「崩し・落とし・外し」を体現できる人間が、どれだけいるだろうか。俺はほとんどいないと思う。説明されると、なんとなく「なるほど」と思ってしまうが、この説明だけでは、足りない。何が足りないかというと、「どうやって」という説明が、だ。
どうやって「崩して」、どうやって「落として」、どうやって「外す」のか。この「どうやって」という部分を追求しなければ、「崩し・落とし・外し」と言われても、体現できることはないだろう。
力で?急所を攻めて?引っ張って?
アプローチの仕方としては、ありだと思う。切り口がどちらかというと、力学的な要素に重点を置いているように思うが、技が掛かるということは、もっと複合的な要素をはらんでいる。人体生理学的な要素もあるし、心理的要素もある。
昔、ある先生方と雑談していた時、椅子に座った状態で逆小手を掛けてもらった。その時、俺の身体は座った状態のまま体が丸まり、足が床から上がっていった。「逆小手」という技を通して、そのような身体の反応を引き出されたのだ。
座った状態だったし、途中で技を止めてもらったので、俺が床に転がることはなかった。しかし、もし立った状態で、同じように「逆小手」を掛けられていたら、俺は床に転がっていただろう。結果的には「崩し・落とし・外し」という、技の掛かり方をしていたかもしれないが、それは技法ではないと思う。むしろ「法則」と呼んだほうがいいだろう。
三角技法についても、同じように考えている。
受身
先日、10数年ぶりに審判講習会を受講した。
いろいろと思うところはあったのだが、その中で1点、思ったことがある。
近年、「飛受身」というものがあり、端的に言えば過度な飛受身を禁止する、とのことだった。
「飛受身」という用語や概念自体、俺は知らない。習ったことがないし、やったこともない。その例として、映像を見せてもらったが、真横に飛んで回転するような受身?であった。それが失敗して頭を打って脳震盪を起こした映像だったが、なんじゃそりゃ、と思った。受身というよりアクロバットの失敗だな、と思った。
そもそも、少林寺拳法の投げ技の成立要件において、真横に飛ぶということはない。映像を見ると、足捌きも体捌きも全くなく、守者が持たれた手を横に倒すのに合わせて攻者が回転していた。技が掛かっているわけではないのだ。
俺が思うに、少林寺拳法の技が掛かるためには、体捌き、あるいは足捌きによって、守者は引っ張らない程度に「開く」。そうすることによって、「斜めの回転」が掛かるので、真横に飛んだり、真正面に前方回転をするような投げられ方にならない。
もっと言うと、小手投等の逆小手系の技で投げる場合、守者は小指から巻き込んで、攻者を「引き上げる」動作が必要となる。この「引き上げる」動作があるからこそ、攻者の身体は回転する。守者が攻者の身体をコントロールしなければいけないのだ。
審判講習会の内容に従えば、技の成立の要件が整っていないので、0点だと思うのだが、それを今更言ってもしょうがないのだろう。演武する側もそういうものだと思って練習しているのだろうし、それが評価されるのだから。
YouTubeでいくつかの演武の動画を見てみたが、20年くらい前の動画ではまだ斜めの回転で受身をとっているように見えた。真正面や真横に回転するようなアクロバティックな受身?は、最近のトレンドのようだ。
そりゃケガするわな。
復帰
7年もの休眠期間を経て、復帰した。
目標は一つ。道院を開設する。
これまで少林寺拳法をしてきた土地ではなく、見ず知らずの土地なので、地元の先生方にアポイントを取って、俺の少林寺拳法に関する経歴と想いを聞いてもらった。
いきなりは無理だけど、協力はしていただけると思う。
仕事なんてなんでもよかった。住むとこだってどこでもいい。むしろ海外に住みたいくらい。
だけど道院長になるためには、どこかの地域に定住しなければいけない。仕事の都合もつけなければいけない。だから自営業を選んだ。開祖が好んでいたという「鶏口であるも牛後であるなかれ」という言葉も頭の片隅にあった。
独立してなんとか生活できるレベルまでもってきた。次は真の目的である道院を開設したい。人生の集大成に向けて。これまで俺が教えてもらったものが本当にいいものであるということを証明するために。
その上でもし組織から切られたら、それでいいと思ってる。その時はスッパリと少林寺拳法から足を洗う。武道・格闘技もしない。もう興味がない。山登りとか海釣りとかしたい。
でもせめて一度は、道院長として全力を尽くしたい。
卍の意味
今となってはもう、ただの思い出話に過ぎないのだが、少林寺拳法の象徴と言えば、卍だった。
級拳士は緑色、初段になったら黒色、三段以上が赤卍。そして道院長はオレンジの卍だ。
若葉が萌えるような、初心を表す緑色の卍。
少林寺拳法への思いが、鉄のような固くなる黒卍。
少林寺拳法への思いが熱く燃えるようになって赤卍。
その情熱がさらに熱くなり、最高潮に達してオレンジ色になる。即ち、道院長。
憧れたオレンジ色の卍。つけたかったな。
少林寺拳法のマークが卍から双円になって、もう20年くらい経つのでしょうか。
その間に入門した拳士にとっては、何も関係ない思いです。
だけどやっぱり、私の心の中には、卍が刻まれています。