少林寺拳法 修行日記

日常生活 即 少林寺拳法

目標

今までいろんな先生に師事してきたけれど、やっぱり今でも一番心に残っているのはAさんだ。

Aさんは、俺よりちょうど10歳年上の人だった。「先生」というよりもむしろ「兄貴」といったような存在。Aさんの廻りはとても明るくなるし、元気をもらえた。

高校生がへらへら笑って「受身すると痛いからやだ!」なんて言ってたので、憤慨してAさんに「あいつらあれでいいんですかね!」と伝えると

Aさんは

「いい。あいつらは少林寺拳法が好きなんだ。ここに来て、明日を生きる元気が出ればそれでいい」

と俺に言った。

頭をハンマーで殴られたような衝撃だった。

この人に協力したい、と思った。

このちょっとおバカな高校生がカツアゲにあったと聞いて、Aさんは自ら金を取り返しに言ったという話も人づてに聞いた。道院長なのに。

理屈で考えれば、社会人で、道院長も務めている人間がわざわざ門下生のカツアゲ事件を聞いて、取られた金を取り返しに行くなんて間違っていると思う。

しかし、理屈ではない。Aさんのこの気持ちが、その行動力が

俺の心に火をつけた。

ああ、こんな人になりたいな。

本気でそう思った。

技だけを見れば、Aさんよりもすごい人はいた。

でも、やっぱり俺が目指しているのはAさんのような人だ。

技に人はついてこない。

残念ながら、Aさんはもう少林寺拳法から身を引いた。

組織のしがらみに押し潰されそうになって。

だけど今でも

俺はAさんみたいな人になりたい。