少林寺拳法 修行日記

日常生活 即 少林寺拳法

上達のコツ③~こだわりと思い込みを捨てる(八方目)~

  「少林寺拳法の技は痛いものだ」「いや、開祖の技は真綿にくるまれたようだったと言うぞ」あるいは「○○先生の掛け方はこうだった」「いや、うちの道院ではこうやって教えているから、この掛け方が正しい」。

 こだわりを持つことは、悪いことではない。しかし、実はこういった“こだわり”や“思い込み”が自分の上達を妨げていることが往々にしてある。正面から見ていたものを横から見ると違う形に見えることもある。或いは下から見たら、また違う形に見えるかもしれない。技を考察する上でも八方目を活用することは必須だと思う。 

 学生時代、尊敬していた人に技を修練する上での心構えを教えて頂き、今も大事にしている言葉がある。それは「突き詰めてこだわるな」というものだった。その方自身が技を練習する上で信条としていた言葉なのだが、要するに「自分の今やっているすべてだと思うな」ということだと思う。例えば、逆小手ひとつとってみても、段位によって進化するし、相手に合わせた様々な掛け方がある。流派として統一した技の掛け方は必要ではあるが、最初から「この技はこうするもの!」と決めつけていては新しいものを発見することなどできない。一度すべてをリセットして自分の技を疑ってみることからスタートするべきだろう。 

 以前、技術について、ある古参の先生に質問していた時、先生は「みんな正しいんじゃ」とボソッと呟かれた。私はこの言葉の中に真理を見た。