少林寺拳法 修行日記

日常生活 即 少林寺拳法

上達のコツ④ ~インプット、アウトプット(教えて教えられる)~

  少林寺拳法には試合がない。もちろん演武大会はあるが、本当に厳しい「勝つか負けるか」を追求したものとは本質が異なる。 
 他武道やスポーツならば「試合」というものを通じて自分の今の力量を確認することができる。少なくとも向上心のある人間ならば、自分に足りない部分に気付かされ、どうやったら弱点を克服することができるのか、考えるようになる。勝者と敗者が明確に分けられる厳しい現実の中で、考えざるを得ないように追い込まれる。 

 それに比べて少林寺拳法はどうか。自分の実力の無さを実感する瞬間はあるか。あるとするならばそれは、技を教えている時にあると私は思う。私の学生時代の師匠は「少林寺拳法を上達したいならば教えろ」とおっしゃられた。今更ながらこの言葉の意味を実感している。よくあることだが、武専や講習会で技を教えてもらって、別の日時、場所で以前教えてもらった方法を教えようとする。しかし、出来ない。上手く説明できない。理解していると思っていたことができない。あるいは自分が「まあいいや」といい加減にしてきたところが浮き彫りになる。わかった「つもり」でいて、実は全然わかっていなかったという部分が洗い出される。 

 これまで多数の先生方を見てきたが、技が上手い先生に共通しているのは「教えたがり」ということだ。実は単に教えているだけではなく、教えることを通して自分の技を試している(確認している)。“達人にとって弟子など実験台に過ぎない!”とまでは言わないが、そういう部分は確かにあると思う。教えることによって、教えられる。これこそ少林寺拳法の最大の特徴だと私は考えている。