攻撃
「一番上手くなっていなければならない技って、いったい何だと思う?」
学生時代、尊敬していた方に、道場でふと聞かれたことがある。
俺はよくわからなかったが、その方は
「一足踏み込んでの逆突きだよ」
と答えられた。
少林寺拳法の法形において一番多用されているのは、一足踏み込んでの逆突きだからだ。
ほんとは各種法形の攻撃方法が「上段直突」と指定されている場合、順突でも逆突でもあるいは左右どちらでも捌けるように練習しなければならないのだが、恐らくほとんどの拳士は右拳の逆突でしか練習していないのではないだろうか。
その一番多用する逆突がヘタクソなままでいいはずがない。
上手くなっていないのは、何も考えず適当な攻撃しかしていないからだ、と教えられた。
その方は他流の研究にも余念がなく、「武術家」という雰囲気を持っておられた方で、法形の逆突が当時の俺にはまったく見えなかった。法形で右拳が飛んでくるのがわかっていても避けられなかった。
と言うわけで俺の剛法は今でもその方の影を追っている。
いい加減な攻撃では技術の向上は見込めず、自信もつかない。
*************************************
「自分が一つの技をこなせ、いざというときに自信をもって対応できるようになるためには、相手に真剣に攻撃してもらわなければならない。受けそこなえばひっくり返るしかないような突き蹴りを受けたり、かわしたりできるようになってこそ自信も生まれるし、下手をすると、胸ぐらをとってこづきまわされかねないほどの攻撃を守ることができ、逆に投げとばせる自信から平常心も育つ」
「自分の上達のためには、相手に進歩してもらわなければならず、相手の熟練のためには、どうしても自分が向上しなければならない
ここに、なれあいをきびしく拒否し、「自分も強くなるが、君も強くなれ」という、力愛不二にもとづく、自他共楽の精神が芽生える。」
宗道臣著 「少林寺拳法奥義」より抜粋
学生時代、尊敬していた方に、道場でふと聞かれたことがある。
俺はよくわからなかったが、その方は
「一足踏み込んでの逆突きだよ」
と答えられた。
少林寺拳法の法形において一番多用されているのは、一足踏み込んでの逆突きだからだ。
ほんとは各種法形の攻撃方法が「上段直突」と指定されている場合、順突でも逆突でもあるいは左右どちらでも捌けるように練習しなければならないのだが、恐らくほとんどの拳士は右拳の逆突でしか練習していないのではないだろうか。
その一番多用する逆突がヘタクソなままでいいはずがない。
上手くなっていないのは、何も考えず適当な攻撃しかしていないからだ、と教えられた。
その方は他流の研究にも余念がなく、「武術家」という雰囲気を持っておられた方で、法形の逆突が当時の俺にはまったく見えなかった。法形で右拳が飛んでくるのがわかっていても避けられなかった。
と言うわけで俺の剛法は今でもその方の影を追っている。
いい加減な攻撃では技術の向上は見込めず、自信もつかない。
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「自分が一つの技をこなせ、いざというときに自信をもって対応できるようになるためには、相手に真剣に攻撃してもらわなければならない。受けそこなえばひっくり返るしかないような突き蹴りを受けたり、かわしたりできるようになってこそ自信も生まれるし、下手をすると、胸ぐらをとってこづきまわされかねないほどの攻撃を守ることができ、逆に投げとばせる自信から平常心も育つ」
「自分の上達のためには、相手に進歩してもらわなければならず、相手の熟練のためには、どうしても自分が向上しなければならない
ここに、なれあいをきびしく拒否し、「自分も強くなるが、君も強くなれ」という、力愛不二にもとづく、自他共楽の精神が芽生える。」
宗道臣著 「少林寺拳法奥義」より抜粋